アトピー性皮膚炎に対する乳酸菌の効果
アトピー性皮膚炎に対する乳酸菌の効果
論文内容要約:
アトピー性皮膚炎(AD)は、免疫学的にはTh2ドミナントな疾患であり、これまでの研究からアレルゲン応答性Tリンパ球のTh2タイプサイトカイン産生をIL-12の作用でTh1タイプへスイッチさせることにより、AD症状改善効果が得られることがわかっている(J Allergy Clin  Immunol;100:274-282,1997)。このことを背景として、乳酸菌の中でIL-12誘導能の高い乳酸菌株のEnterococcus faecalis ( 以下EC-12 :コンビ株式会社製) を選定し、動物実験と臨床試験においてAD症状改善効果を検討した。
動物実験として、アトピー性皮膚炎症状を自然発症するNCマウスを用いて、3週齢より連日EC-12を経口摂取させ臨床症状の変化をスコア化して評価した。EC-12摂取群は、症状の発現が未摂取群(CRF-1)と比較して軽度であった。(Fig.2)※
動物実験結果からEC-12の有効性が予測されたため、AD患者に現在の治療等は継続したままEC-12を連続飲用する臨床試験を行った。1回目試験は60日間連続飲用、2回目試験では180日間の長期連続飲用試験を行った。臨床試験において、180日間EC-12の摂取を継続した症例の中にはハウスダスト抗原特異的IgE値レベルが低下する症例も認められ(Fig.7)、患者本人の満足度および医師のSCORAD等による臨床評価を併せた総合評価で、EC-12はADの補助療法としての効果が期待できる結果が得られた。
※:Fig.2は一部改変
出典:皮膚の科学, 第7巻, 増刊10号 38−44 , 2008
タイトル:アトピー性皮膚炎に対する乳酸菌の効果
著者名:藤村 響男
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