記憶学習障害モデルに対する効果
記憶学習障害モデルに対する効果

背景
精神的ストレスにより、脳の機能が低下することは良く知られており、精神的ストレスの蓄積はアルツハイマー病など等の脳神経疾患の発症に関係している。精神的ストレスによる脳の機能低下には酸化ストレスが関与していることが示唆されているので、慢性的な拘束による精神的ストレスがもたらす学習記憶能力の低下に対して、抗酸化物質が抑制効果を持つか否かについて検討した。

実験方法
7週齢のC57BL/6系雄マウスを、通常餌、70mg/kg/dayに相当するビタミンE添加餌、100mg/kg/dayに相当するGliSODin添加餌でそれぞれ8週間飼育し、1週間馴化後の7週間、1日当たり12時間閉所に拘束して精神的ストレスを負荷した。飼育から7週目の5日間および8週目の最後の3日間にモーリス水中迷路試験を実施し、記憶学習能力を評価した。また、記憶などに重要な役割を果たす海馬における神経新生なども確認した。

結果及び考察
拘束ストレスにより記憶学習能力が低下したが、GliSODin投与群は健常群と同じレベルを維持していた。また、海馬におけるKi-67(細胞増殖マーカー)の陽性細胞を比較したところ、拘束により神経新生が抑制され、GliSODin投与により健常レベルまで回復していた。これは精神的ストレスによって引き起こされる脳の酸化ストレスをGliSODinが軽減し、神経新生が維持されたため記憶学習能力の低下が抑制されたためと考えられる。

出典:Behav. Brain Res. in press
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